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Mirai021S「 bespokeパッチワーク ウエストコート 」
GoldenClassic
10Years after
みらい
no. 21
bespoke
ClassicWaistcoat
「1950`s〜1960`s vintage イングリッシュツィード」
パッチワーク ウエストコート
10周年に向けて「みらい」にアトリエの工芸の粋を尽くした傑作をひとつづつ残そうと思っています、
日本ではあまり知られていないが、英国の子供ならだれでも知っている「Mr.Toad」というヒキガエルのキャラクターがいる。
1940年代にデイズニーもアニメ化したらしく、カルフォルニアのアナハイムのデイズニーランドには「Mr.Toad Wild Ride」というアトラクションもあって、これは日本のデイズニーランドにはないらしい。誰も「Mr.Toad」を知らないからなあ。
この「ヒキガエル」はたいへんな富豪で、自慢の競走馬を持ち、テムズ川にはホテルのように豪華な船を浮かべ、気球に凝り、ユーモアを解し、インテリジェントのあるなかなかの趣味人なのである。
その「Mr.トード」が好んでいつも着こんでいるのがハリスツイードの三つ揃いなのだ。もちろん、手紡ぎ、手織りである。
「好んで」というよりは、「Mr.トード」ははっきりっとツイードの服に拘っているのだということが子供でも分かった。
「ヒキガエル氏」は毎日、3回は着替えるのである。大胆なオーヴァープレイドのはいったレイプシード(ゴールドイエロー)の三つ揃いから、グレーとラスト(赤茶)のハウンドツースなどどれも凝ったツイードの数々を。
「ヒキガエル氏」の趣味に明け暮れる優雅な生活ぶりを凝った「ツイード」の三つ揃いが代表しているように、「ツイード」というのは男の「趣味の時間」を想起させる。
ハンテイングや釣りや、自動車いじりや、自転車もそうだ、男のゆったりとした愉しみの時間というのを糸にしてしっかり密に織り込んだものが「ツイード」だといえよう。
「愉しいみらい」を創造していきましょう、
銀座東京
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1950年代から1960年代の頃のヴィンテージツィード、実に良い糸のラムウールでしっかり織り込まれている。
現実にこういうツイードが今、目の前にあればすぐにスポーツコートのひとつでも注文したいところだ。それほど、これらのツイードは色柄の良さ、織の精緻さで「英国の黄金期」を現している。
写真手前のちょっと渋みのあるイエローゴールドの小さなハート型をした織り柄は古のカントリースポーツ地の正統であり代表的なものであったが、いまでは探すのも難しい。
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「ラムウールツィード」は1950年代〜1960年代当時でも「高級品」であった。「研究ノート」にも何度も記しているけれど、「ラムウール」というのは羊の最初に刈り取る「原毛」で、「生後3か月以内の羊の毛」という決まりがあった。
当時のラムウールは「産毛」という表現のそのままのいかにも細い、superなんとかという表現をしたら相当な数字になっていたのではないだろうか。想像して欲しい、生後2〜3か月の赤ちゃん羊がどれだけ小さな生き物であるかを、そして、その「内毛(外毛の内部の産毛)」のなんと繊細なことか。
テーラーでも「ラムウール ツィード」はバンチも別扱いでより豪華な表紙がつけられ随分エラそうだった。ハンツマンやそれなりのテーラーは毎年、「シェットランドウール」か「ラムウール」でオリジナルのツィードを織らせていたように思う。
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「ラムウール」のツイードは「軽い」。そして思いのほか暖かい。
「オッドベスト」にするにはこれほど具合の良いものはない。ネイヴィーブレザーに合わせ、ツイードのスポーツコートに合わせ、或いはバブアのカントリー用のゴム引きショートコートと合わせて趣が深い。
今、思いついたがパッチワークツイードのウエストコートはフェアアイズルのスリップオーヴァーに似ていないか?そういう意味ではチョークストライプのスーツに合わせても面白かろう。
「パッチーワーク ツイード」は「布をつくる」ところから始まる。完全なるハンドメイド。 これは云うは易し行うはメンドくさしという好例である。
型紙に合わせツィードを置いていく。ウエストコートになったときの色のバランス、柄の配置の意外性を考えながらああでもない、嗚呼こういう組み合わせもあると迷い続ける。
配置が決まれば、それを丹念に縫い合わせるのだが、面倒なのは裏の処理である縫い代を丁寧にアイロンをかけていく。