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Mirai020S「大久保ラスト秘蔵の素材×京都 虫愛ずるローファー」
GoldenClassic
10Years after
みらい
no. 2o
bespoke
ClassicLoafer
大久保秘蔵素材×京都
「虫愛ずるローファー」
bespoke 全身京刺繍
10周年に向けて「みらい」にアトリエの工芸の粋を尽くした傑作をひとつづつ残そうと思っています、
風薫る五月上旬に「京都取材旅行」と称し、私は京工芸の老舗を都合9軒ほど巡りました、
頼りになる人を介していたおかげでそれぞれに特徴的で選りすぐった職人芸をみせてもらうことができました、
そのなかでやはり唸ったのが「京刺繍」の至芸です、
これは「美術」です、
例えば我々はシャツに縫い込むイニシャルがもはや日本ではミシン仕上げしかなく、いまだフィレンツエでは「おばあさん」が手で仕上げてくれるらしいのにと嘆いていました、私もそういう固定観念をもったひとりでありましたが、
事実はそうじゃない、
シャツのイニシャルとか「フィレンツエのおばあさん」とか、そんなレヴェルとは別の次元で我々はもっと凄いものを、すなわち手技の極ともいうべき絹糸を幾重にも手で刺して作り上げる「芸術」をもっていたのです、その現場を、その実物を見ると驚きます、
ただ、この凄いものは通常、ほとんどが高価な「きもの」にしかつかわれていないのです、だから我々のほとんどが知らないのです、
京都から戻って大久保と京都旅行のアレコレや、その職人技の驚いたことなどを珈琲を飲みながら話していたとき、
ふいに大久保が「その刺繍ってイギリスの室内履きに活かせますよね」といった瞬間にこの「スペシャルモデル」は二人の脳内に同時にイメージを結びました、
「愉しいみらい」を創造していきましょう、
銀座東京×京都
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その京刺繍の工房には、古の刺繍を何年もかけて復元し集めた「アルバム」がありました、あらゆる意匠、刺繍の工夫が網羅されていて、その「アルバム」自体がひとつの「美術館」といえるでしょう、見応えのある内容で、「刺繍」とひとことではすませられない多様な技があることに驚きました、
他にも、「輸出用」として縫われいまや復元できないという刺繍や、職人さんが刺繍見本として何十年も前に縫ったものまで見せてもらえました、
そのなかのひとつに、すでに73歳になるという職人さんにしかできないと云う鈴虫やホタルやこおろぎなど季節の愛らしい虫の刺繍が私の興味をひいたのです、
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「京刺繍」は基本の手法だけで15種類あるそうです、その15の手法をひとつの刺繍のなかで柄行に合わせてうまく「組み合わせ」ながら「変化」をつけ見事なものに仕上げるというのが職人の「技量」なのだそうです、
そういわれれば、なるほどひとつの手法だけで刺繍をしても平板になることでしょう、柄行によって遠近をだしたり、陰影をつけたり、厚みをだしたりとそれに合う手法を選んでいくのでしょう、、、云うまでもなく15の手法はあくまで基本で、「分類可能」な技法だけでも百を超える、
さらにその職人独自の技法というのもあります、
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この虫の刺繍も73歳の職人さんの独自な技法で、その職人さんがいなくなれば消える運命にあります、
この虫の刺繍は下絵なしで縫うそうです、